デジモンにわかが「デジモンカード」を始めた話
3月に入ってデジモンカードを始めた。
元々「バディファイト」というTCGをやっていたのだが、今年の5月を以てサービスを終了してしまう。ややガチ寄りに遊んでいたタイトルが終わってしまうため、正直紙のTCGに対するモチベーションは消えかけていた。
しかし「バディファイト」のプレイヤー達が何故かこぞって「デジモンカード」を始めたのを見て、なんとなく触れようと思ったのがきっかけだ。
今年25歳になる僕はデジモン直撃世代だ。ただ、当時かじりついて見ていたわけでもなく、大してデジモンを知らない。なんとなくテイマーズから先はリアタイしていたのでボヤっと覚えている程度だ。
そんなほぼデジモンを知らない人間がやっても「デジモンカード(以下デジカ)」は面白かった。
友人にデッキを借りてプレイし始めてからマイデッキを作り、約1か月程度プレイしたので、はじめたてのプレイヤー目線で良かったところ、気になったところを紹介しようと思う。
・「育成」「進化」をテーマにしたデジモンらしいルール
まず、簡単にルールの紹介をする。
お互い「セキュリティ」と呼ばれるライフをデッキの上から5枚用意する。
その後、初期手札を5枚用意し、「孵化エリア」にてデジモンを孵化、育成する。戦える状態まで育てたら「バトル場」に出し、「テイマー」「オプション」といったカードでサポートし、相手の「セキュリティ」を0枚にして、とどめの攻撃を通したほうが勝者となる。
デュエルマスターズの基本勝利条件である「シールドを0枚にして相手を直接攻撃すれば勝利」という点と同じだ。詳しいルールは以下動画参照。
デジモンのコンセプトが「男の子向けの戦うたまごっち」であるようにデジモンを孵化から育て、強くなった段階で戦わせる、といった部分をルールによく落とし込んである。カード下部に書いてある「進化元効果」を上のレベルのデジモンに付与することができるので、育て方によって同じデジモンでも違った性能のものができるところがいかにも育成ゲームっぽい。
☆良かった点
・ルールが簡単
上記の動画を見ていただけるとわかると思うが、このゲームなんと実質フェーズが1個しかない。ターンの初めに行う攻撃やブロック等役割を果たして横になっているデジモンを起こす「アクティブフェイズ」と手札を補充する「ドローフェイズ」はほぼどのタイトルにも存在するし、はっきり言って作業のようなものだ。「育成フェイズ」も然るべき時のみ実行するが、スルーすることのほうが多い。なので、このゲームで実際にアクションを起こすフェーズとなると攻撃や進化、その他カードのプレイを行えるメインフェイズのみなのである。
そのためゲームを進めるうえで覚えることが少なく、TCG経験者ならあっという間にルールを覚えられてしまう。
しかもこの1フェーズで1ターンのアクションが完結するというのは、昨今流行っているスマートフォン向けのカードゲームとよく似ているのだ。「シャドウバース」や「ハースストーン」もドローフェイズを行った後はマナが切れるまで1フェーズで自由に行動できる。これならスマートフォン向けのタイトルしか遊んだことがないという人でも遊びやすいのではないかと思った。
・シングルが異常に安い
何故かシングルの単価が死ぬほど安い。1万円あれば環境に存在するデッキは多分どれを選んでも組めてしまう。現在「黄色ロードナイト」と「ニーズヘッグモン」を主軸とした「緑単」というデッキが環境上位を占めている。しかし両デッキとも恐らく7000~8000円程度で組めてしまう。
もっと前から遊んでいたプレイヤーから聞いた話だが、それぞれデッキの切り札となっている「ロードナイトモン」や「ニーズヘッグモン」は上から2番目のレアリティであるにもかかわらず初動で150円とか200円で投げ売りされてたらしい。決して前評判が悪かったとかそういったことではないらしいのだが...ぶっちゃけショップの利率とかパックの売り上げが心配になるレベルで安い。
・最低限のやりとりができる
先述の通り育成をある程度進めてからの戦いになるため、急に攻められて轢き殺されたり、一方的な制圧をされて何もできなくて終わるといったことはほとんどない。
そのため、デッキの相性が最悪でも育成や場に出しての戦闘は可能なので、なんとなくゲームをした気になれるのはかかるストレスが少なくて良いと思った。
またこのゲームは相手が使用したメモリーの数によって自分の行動できる範囲が決まってくる。要は相手にマナの管理をされているようなものなので、よっぽど大きい数字を渡しまくったりとかしなければ相手の動きをある程度コントロールできるため、相手とのやり取りを楽しむことができる。
・ドローがたくさんできる
通常のドロー以外にもデジモンが進化した際に「進化ドロー」というルールで1枚ドローできる。そのため他のタイトルと比べるとドローソースがかなり少ない。ただ普通にプレイしているだけでたくさんドローできるのは、デッキが回っている感じがして楽しい。育成の最中に手札を増やせるため、2回目の育成プランを立てつつゲームを進行 できる。それに1回目の育成で思うような進化ができなくとも、進化ドローや通常のドローなどで2回目の育成を始めるころにはそれなりに手札が整った状態からの育成になるので、結構強めのデジモンが出来上がるのも魅力に感じた。
☆気になった点
・参入障壁が地味に高い
ストラクチャーデッキは500円で購入できるしシングルも破壊的に安いのだが、アニメ、ゲームから派生したタイトルである以上、原作のアニメやゲームに詳しくないとなかなか手が出しづらいため、参入障壁が地味に高いと思った。大体のタイトルはTCGがメインでアニメ等のメディアミックスがそれに付随している形をとっているため、それらを知らなくてもゲーム自体は十分に楽しめる。実際僕もデジモンにそんなに詳しくない、というのがデジカを最近まで触る気にならなかった一番の理由だ。
実際始めてみると意外と原作を知らずにやっている人もかなりいるようなので、僕のように「デジモンよく知らないしなぁ...」的な具合で悩んでいる人も、とりあえずスタートデッキを手に取ってやってみるといいかもしれない。
・マリガンがないから事故ると一方的
一方的な試合運びになりにくいとは言ったものの、Lv2~Lv6まで順当に進化できないとどうしても一方的にはなってしまう。途中のカードが欠けていても進化ドローで大抵は引けるのだが、最初にLv2からLv3へ進化する際、Lv3に該当するカードが引けていないとかなりしんどいことになってしまう。 ゲームの準備をする際にセキュリティから準備する都合でどうしてもマリガンができないらしく、それならば最初に手札を用意してマリガンをし終わってからセキュリティ準備をするように変更するとかで、何とか進化事故の発生を減らすような対応をしてほしいと思った。
☆まとめ
まだ開始から1年しか経っていないゲームのため改善の余地は色々あると思うが、つい最近もユーザーに対してのアンケートを行っていて、ゲーム自体を改善していこうという姿勢も見られる。
ゲーム自体もシンプルかつ奥が深いを地で行くようなルールで、TCGに触ったことのない初心者から経験者まで楽しめるように作られている。単価も安く手が付けやすいため、デジモンに詳しくなくてももう少し早く始めておけばよかった、というのが現在の感想だ。各地方で緊急事態宣言が解除され、交流会や大会も開かれだしてコミュニティも徐々に盛り上がりだしている。もしデジカに興味があるなら原作を知らなくてもデッキを手に取って、そういう場所に向かってみるのもいいかもしれない。